甘草（カンゾウ）ってどんな漢方？知られざる働きと活用法を徹底解説！

実は、漢方薬の7割以上に配合される”縁の下の力持ち”、それが甘草（カンゾウ）！甘いだけじゃない、驚きのパワーを秘めた万能生薬なんです。

この記事では、漢方における甘草の重要性から、効果的な使い方、注意点まで、漢方専門家が徹底解説！

あなたの「なんとなく不調」も、甘草で解決できるかも？

はじめに：漢方における甘草の重要性

甘草（カンゾウ）は、数多くの漢方薬に配合されている生薬で、その重要性から「漢方の要」とも言われています。

実に、日本で承認されている一般用漢方製剤の約7割以上に含まれているというデータも！

多くの漢方薬に含まれる理由とは？

甘草がこれほど多くの漢方薬に配合されている理由は、主に以下の3つの働きによるものです。

• 調和作用： 他の生薬の作用を調和させ、全体のバランスを整える。
• 緩和作用： 刺激を和らげ、穏やかな作用をもたらす。
• サポート作用： 他の生薬の働きを助け、効果を高める。

「甘草なしでは漢方は語れない」は本当？

結論から言うと、「甘草なしでは漢方は語れない」は、あながち間違いではありません。

もちろん、甘草を含まない漢方薬も存在します。

しかし、甘草が持つ上記の優れた働きは、多くの漢方薬の処方において非常に重要な役割を果たしているのです。

甘草の役割を表でまとめると…

役割	説明
調和作用	個性の強い生薬同士をまとめ、チーム全体のパフォーマンスを向上させる（例：オーケストラの指揮者）
緩和作用	刺激の強い生薬の作用を和らげ、副作用を軽減する（例：クッション、サポーター）
サポート作用	他の生薬の働きをサポートし、効果を最大限に引き出す（例：名脇役、縁の下の力持ち）

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漢方薬で使われる甘草（カンゾウ）とは？基本情報をわかりやすく解説

ここでは、甘草の基本情報について、植物としての特徴、漢方薬としての歴史、そして含まれる主な成分について、分かりやすく解説します。

植物としての甘草の特徴

甘草は、マメ科カンゾウ属の多年草植物です。 主な種類としては、

• ウラルカンゾウ
• スペインカンゾウ

などがあります。

特徴をまとめると…

• 生育地： 主に中国北東部、モンゴル、シベリアなどの乾燥地帯
• 草丈： 50cm〜1m程度
• 花： 夏に薄紫色の花を咲かせる
• 利用部位： 根およびストロン（地下茎）を乾燥させたもの

漢方薬としての甘草の歴史

甘草は、非常に古くから薬用として用いられてきた歴史があります。

• 中国：
  • 約2000年前の医学書『神農本草経』に収載
  • 「衆薬の王」として、様々な処方に配合
• 日本：
  • 奈良時代に中国から伝来
  • 正倉院にも薬物として保存されている

甘草に含まれる主な成分

甘草には、様々な成分が含まれており、それぞれが独自の働きを持っています。

ここでは、主要な成分とその働きについて、科学的な知見も交えながら解説します。

• グリチルリチン： 甘草の主成分で、特有の甘味を持つ。
• フラボノイド類： リクイリチン、イソリクイリチンなど。
• その他： クマリン類、アミノ酸、糖類など。

甘草の主要成分とその働き 一覧表

成分分類	主要成分名	主な働き	備考
トリテルペノイド	グリチルリチン (Glycyrrhizin)	抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、肝機能保護、解毒、去痰、鎮咳、抗ウイルス、抗酸化、免疫調節	甘草の主成分。砂糖の数十倍の甘み。ステロイド様作用（副腎皮質ホルモン様作用）を持つ。過剰摂取で偽アルドステロン症のリスク。
	グリチルレチン酸 (Glycyrrhetinic acid)	抗炎症、抗アレルギー、抗ウイルス	グリチルリチンの分解物。
フラボノイド	リクイリチン (Liquiritin)	抗酸化、抗炎症、血管保護
	イソリクイリチン (Isoliquiritin)	抗酸化、抗炎症、抗菌、抗ウイルス、抗腫瘍、エストロゲン様作用
	グラブリジン (Glabridin)	抗酸化、抗炎症、メラニン生成抑制（美白）、抗菌
	その他数十種類のフラボノイド
クマリン類		血液凝固抑制、血管拡張
多糖類		免疫力向上、抗腫瘍
アミノ酸		体の構成成分、エネルギー源
ミネラル	カリウム、カルシウム、マグネシウムなど	体の機能を正常に保つ

これらの成分が複合的に作用することで、甘草特有の働きが生まれます。

【注意点】

• グリチルリチンは、過剰摂取すると、偽アルドステロン症（低カリウム血症、高血圧、むくみなど）を引き起こす可能性があります。
• 甘草を含む漢方薬や食品を摂取する際は、用法・用量を守り、過剰摂取にならないように注意しましょう。

漢方から見た甘草の働き

甘草は、多くの漢方薬に配合されている、非常に重要な生薬です。

その穏やかで調和的な働きから、「諸薬の王」とも呼ばれ、漢方の世界では欠かせない存在となっています。

「甘い草」と書く名前の通り、甘み成分が特徴ですが、その働きは甘いだけではありません！

ここでは、漢方の視点から見た甘草の主な働きを、詳しく解説します。

様々な漢方薬を調和させる役割

甘草は、まるでオーケストラの指揮者のように、様々な生薬の働きをまとめ、調和させる役割を担っています。

• 調和作用（緩和作用）:
  • 異なる性質の生薬を調和: 漢方薬には、温める生薬、冷ます生薬、乾燥させる生薬、潤す生薬など、様々な性質の生薬が配合されています。甘草は、これらの生薬の個性をまとめ、一つの漢方薬として、より効果的に働くように調整します。
  • 刺激を緩和: 刺激の強い生薬の作用を和らげ、副作用を軽減する効果も期待できます。
  • 味を調える: 独特の甘みで、漢方薬全体の味を調え、飲みやすくします。
• 中医学の考え方:
  • 甘草は、「脾胃（ひい）」（消化器系）の働きを助け、「気」（エネルギー）を補うと考えられています。
  • 「脾胃」は、飲食物から栄養を取り込み、全身に運ぶ、重要な役割を担っています。
  • 甘草は、「脾胃」の働きを整えることで、他の生薬の働きをスムーズにし、漢方薬全体の効果を高めると考えられています。

穏やかな作用でサポート

甘草は、穏やかながらも、私たちの体を多方面からサポートしてくれる、頼もしい生薬です。

• 主な働き:
  • 補気（ほき）: 気（エネルギー）を補い、元気にする。
    • 疲労倦怠感、食欲不振、息切れなどの改善に。
  • 緩急止痛（かんきゅうしつう）: 筋肉の緊張を和らげ、急な痛みを止める。
    • 腹痛、筋肉痛、こむら返りなどの改善に。
  • 清熱解毒（せいねつげどく）: 体内の余分な熱を冷まし、炎症や化膿を抑える。
    • 喉の痛み、口内炎、皮膚の炎症などの改善に。
  • 潤肺止咳（じゅんぱいしがい）: 肺を潤し、咳を鎮める。
    • 乾燥性の咳、痰の少ない咳などの改善に。
  • 祛痰（きょたん）: 痰を取り除く。
    • 粘り気のある痰、黄色い痰などの改善に。

他の生薬の働きを助ける？

甘草は、単独で使うよりも、他の生薬と一緒に使うことで、より効果を発揮すると考えられています。

• 相乗効果:
  • 他の生薬の働きを高め、漢方薬全体の効果を増強します。
  • 例えば、鎮痛作用のある生薬と一緒に使うことで、より強い鎮痛効果が期待できます。
• 薬性（薬の性質）の調整:
  • 他の生薬の強い作用を和らげたり、副作用を軽減したりします。
  • 例えば、体を強く温める生薬と一緒に使うことで、温めすぎによる副作用（のぼせ、ほてりなど）を防ぐことができます。
• 中医学の考え方:
  • 甘草は、「調和諸薬（しょやくをちょうわす）」と言われ、様々な生薬を調和させ、その働きを助けると考えられています。

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甘草を含む代表的な漢方薬

甘草は、非常に多くの漢方薬に配合されており、その数は、日本の一般用漢方製剤の約7割にも及ぶと言われています。

ここでは、甘草を含む代表的な漢方薬と、それぞれの漢方薬における甘草の役割について解説します。

実は身近な漢方薬にも？

甘草は、風邪薬、胃腸薬、鎮痛薬、咳止めなど、私たちが普段よく使う漢方薬にも、幅広く配合されています。

• 例:
  • 葛根湯（かっこんとう）: 風邪のひき始め、肩こり
  • 小青竜湯（しょうせいりゅうとう）: 鼻水、くしゃみ、アレルギー性鼻炎
  • 芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）: こむら返り、筋肉のけいれん、腹痛
  • 六君子湯（りっくんしとう）: 胃腸虚弱、食欲不振、疲労倦怠感
  • 補中益気湯（ほちゅうえっきとう）: 虚弱体質、疲労倦怠感、食欲不振
  • 麦門冬湯（ばくもんどうとう）: 痰の切れにくい咳、気管支炎
  • 甘麦大棗湯（かんばくたいそうとう）: 不安感、イライラ、不眠、夜泣き
  • 抑肝散（よくかんさん）: イライラ、神経過敏、不眠

それぞれの漢方薬における甘草の役割

漢方薬名	甘草の主な役割
葛根湯	他の生薬の働きを調和。体を温め、発汗を促す生薬（麻黄、桂枝など）の作用を穏やかにし、副作用を軽減。
小青竜湯	他の生薬の働きを調和。体を温め、水分代謝を改善する生薬（麻黄、細辛、乾姜など）の作用を穏やかにし、副作用を軽減。
芍薬甘草湯	主薬の一つ。芍薬と一緒に働くことで、筋肉の緊張を和らげ、急激な痛みを鎮める。（相乗効果）
六君子湯	胃腸の働きを整え、他の生薬の消化吸収を助ける。
補中益気湯	胃腸の働きを整え、「気」を補い、他の生薬の働きを助ける。
麦門冬湯	肺を潤し、咳を鎮める生薬（麦門冬）の働きを助ける。
甘麦大棗湯	主薬の一つ。精神を安定させ、不安感やイライラを鎮める。（他の生薬との相乗効果）
抑肝散	他の生薬の働きを調和。神経の高ぶりを鎮める生薬（釣藤鈎など）の作用を穏やかにする。

【ポイント】

• 各漢方薬における甘草の役割は、単独の働きだけでなく、他の生薬との組み合わせによって、より複雑で多様な効果を発揮します。
• 同じ甘草でも、漢方薬の構成によって、その役割や期待される効果が異なる場合があります。
• 漢方薬を選ぶ際は、自己判断せず、必ず専門家（漢方医、漢方薬局の薬剤師）に相談しましょう。

漢方薬の甘草を使用する際の注意点

甘草は、適切に使用すれば安全性の高い生薬ですが、体質や摂取量、使用期間によっては、副作用が現れる可能性もあります。

また、他の薬との相互作用にも注意が必要です。

ここでは、甘草を使用する際の注意点について、専門的な観点から詳しく解説します。

長期使用や大量摂取のリスクは？

甘草の主成分であるグリチルリチンは、長期連用や大量摂取により、偽アルドステロン症を引き起こす可能性があります。

• 偽アルドステロン症とは？
  • 体内の電解質バランス（カリウム、ナトリウム）が崩れ、低カリウム血症、高ナトリウム血症、高血圧、むくみ（浮腫）、体重増加、脱力感、筋肉痛などの症状が現れる病態。
  • 重症化すると、不整脈や心不全、横紋筋融解症などを引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
  • 機序: グリチルリチンは、体内でグリチルレチン酸に代謝され、腎臓でのミネラルコルチコイド受容体（MR）を活性化します。MRの活性化により、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄が促進され、体内の電解質バランスが崩れます。
• リスクが高まる要因:
  • 長期連用: グリチルリチンの蓄積により、偽アルドステロン症のリスクが高まります。一般的に、数週間以上の連用は避けるべきとされています。
  • 大量摂取: 1日あたりのグリチルリチン酸として40mgを超える摂取は、リスクが高まるとされています。（甘草としての1日最大配合量（7.5g〜8.0g）を大きく超えない限り、通常の漢方薬の服用では問題ないことが多いですが、注意が必要です。）
  • 高齢者: 加齢により、腎機能が低下している場合があり、偽アルドステロン症のリスクが高まります。
  • 女性: 女性ホルモンの影響により、男性よりも偽アルドステロン症を発症しやすいと考えられています。
  • 特定の体質: 肝機能障害、腎機能障害、心疾患、高血圧などがある方は、注意が必要です。
• 低用量でも注意が必要なケース:
  • 複数の漢方薬を併用する場合（甘草は多くの漢方薬に含まれているため）
  • 高血圧治療薬、利尿薬、強心薬などを服用している場合

副作用はある？

甘草の主な副作用は、前述の偽アルドステロン症に関連する症状です。

• 主な副作用:
  • 偽アルドステロン症: 低カリウム血症、高ナトリウム血症、高血圧、むくみ（浮腫）、体重増加、脱力感、筋肉痛、頭痛、倦怠感など。
  • 消化器症状: 胃部不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢など。（特に、胃腸が弱い方に起こりやすい）
  • 過敏症: 発疹、かゆみ、蕁麻疹など。（まれに、重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こすこともあります。）
  • その他: 動悸、不整脈、息切れ、胸痛、手足のしびれ、痙攣など。

他の薬との飲み合わせは？

甘草は、他の薬との相互作用に注意が必要です。特に、以下の薬を服用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

• ループ利尿薬（フロセミドなど）:
  • カリウム排泄を促進するため、甘草との併用により低カリウム血症を増悪させる可能性があります。
• チアジド系利尿薬（ヒドロクロロチアジドなど）:
  • 上記と同様に、低カリウム血症のリスクを高めます。
• 強心薬（ジゴキシンなど）:
  • 低カリウム血症により、ジゴキシンの毒性が増強される可能性があります。
• 副腎皮質ホルモン（プレドニゾロンなど）:
  • 甘草のステロイド様作用により、副腎皮質ホルモンの作用を増強する可能性があります。
• 経口避妊薬（ピル）:
  • エストロゲン作用を持つ薬との併用により、偽アルドステロン症のリスクを高める可能性があります。
• その他
  • 高血圧治療薬、糖尿病治療薬、抗不整脈薬、抗精神病薬、抗うつ薬など、多くの薬との相互作用が報告されています。

【重要】

• 漢方薬同士でも、組み合わせによっては副作用が起こることがあります。自己判断で複数の漢方薬を併用するのは避け、必ず専門家（漢方医、漢方薬局の薬剤師）に相談しましょう。
• 市販薬やサプリメントを併用する場合も、医師や薬剤師に相談しましょう。
• お薬手帳を持参し、現在服用中の薬をすべて伝えましょう。

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漢方薬の甘草に関するQ&A

ここでは、甘草に関するよくある質問とその回答を、専門的な観点も交えながらまとめました。

よくある質問とその回答

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まとめ：漢方薬の甘草を上手に活用して、健康な毎日を！

✨ 甘草の穏やかな力で、あなたの「気・血・水」を整えましょう！ ✨

甘草は、古くから漢方の世界で重宝されてきた、非常に有用な生薬です。その穏やかで調和的な働きは、様々な漢方薬に配合され、私たちの健康をサポートしてくれます。

• 甘草の主な働き:
  • 調和: 様々な生薬の働きをまとめ、調和させる。
  • 補気: 気（エネルギー）を補い、元気にする。
  • 緩急止痛: 筋肉の緊張を和らげ、急な痛みを止める。
  • 清熱解毒: 体内の余分な熱を冷まし、炎症や化膿を抑える。
  • 潤肺止咳: 肺を潤し、咳を鎮める。
  • 祛痰: 痰を取り除く。
• 注意点:
  • 長期連用や大量摂取は、偽アルドステロン症のリスクを高める。
  • 他の薬との相互作用に注意が必要。
  • 体質や持病によっては、使用を避けるべき場合も。

甘草は、正しく理解し、適切に使用すれば、私たちの健康維持に大いに役立つ、頼もしい存在です。

この記事で得た知識を活かし、甘草を上手に活用して、健やかな毎日を送りましょう！